縮毛矯正と、私の一歩
やっぱり、ウィッグを外そうと思い立った。
きっかけは、先日から始まった新しい派遣先での環境だったから。
まだ職場に慣れきらない今のうちに、髪型も“見慣れない状態”から“当たり前の姿”へ変えてしまおう。
そう思い、ベリーショートになろうと。
改めて、抗がん剤後の髪にも理解のある美容室を探した。
人生はじめての、縮毛矯正。
元々、ほぼ白髪もなく、ストレートで髪質は硬くもなく柔らかくもなく普通、量も普通で、髪の毛について悩んだことは特になかった。
強いて言えば後頭部の形が悪いので、丸くしてもらいたいとの希望を伝えるぐらいでした。
担当の美容師さんは、20年以上抗がん剤治療後の髪を施術してきたそうです。
その中でも、私の髪はかなりチリチリ感が強く、ここまでの状態は初めてだとおっしゃっていました。
そして、縮毛矯正と整える程度のカットが終わると、
美容師さんが「背も高くて顔も大きくないし、白髪もないので、ベリーショートとても似合っていると思いますよ」と言ってくれた。
営業トーク、いわゆるお世辞なのだろうと、頭では分かっていた。
昔から、褒められても素直に喜べないタイプだ。
できることなら“褒められ上手”になれたらいいのに、とこれまで何度思ったことか。
そう思いながら、その日の帰り道はウィッグなしで、慣れない駅から電車に乗って帰宅しました。
ウィッグを外すには、今回の美容師さんの言葉を、真に受けるしかない。
他の選択肢はない。
翌朝少しドキドキしながら出勤。
案の定、「あら、思い切ったね」と驚かれ、「よく似合ってる」「背も高くて、海外の女優さんみたい、カッコいい」とまで言っていただいた。
もちろん、鵜吞みにしたわけではない。
「前からやってみたかったんです~」と、私は笑って答えた。
本当は、この髪型しか選べなかっただけ。
新しい職場はまだ10日ほど、乳がん治療のことを話すには、少し距離がある。
ベリーショートの髪型は、わかる人にはわかる。すでに気づいている人もいるかもしれない。
それでも、どう思われてもいい。
今回かけてもらった褒め言葉を少しだけ信じたこと。
職場でついた小さな嘘。
どちらも、これからの自分が前へ進むために必要な、一歩だったのかもしれない。


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